【居場所がないときは〇〇】父と子/ツルゲーネフ①
皆さんは世代間ギャップを感じることはありますか?
例えば、以下のようなものです。
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上司は石の上にも三年って言うけど、、、今は転職が当たり前の時代だよな!
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30歳までには結婚しろって言われるけど、今は一人でも生きてける時代
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大企業に骨を埋めるよりも、フリーランスとして個の力を活かすべき
とはいえ、本当に新しい価値観を受け入れて良いだろうか、幸せになれるのだろうかという迷いもありませんか?
古い価値観から新しい価値観への過渡期における迷いです。
ツルゲーネフ『父と子』の舞台となる19世紀半ばのロシアも似たような状況下にありました。時代の過渡期をどのように乗り越えるべきか、ヒントを得るべく見てみましょう。
あらすじ
反動的なニコライ1世から改革派のアレクサンドル2世の治世へと変わり、農奴制の廃止をはじめとして急進的な資本主義の導入が進められておりました。
主人公アルカージイは、名門サンクトペテルブルグ大学を卒業したばかりの青年です。彼が友人のバザーロフとともに、実家に帰省するところから物語が始まります。
物語の前半では、親世代と子世代の対比が描かれます。保守的な親世代に対し、最先端の知識に触れ、合理に基づいた変革を求める子世代。
ところが、物語の後半ではその流れが変わってきます。親子vs.親子というように、親子同士の対比が浮き彫りになってくるのです。
主人公アルカージイが所属する農場の経営者や地主といった上流階級。そして友人バザーロフが所属する労働者階級。
アルカージイの家業は農場経営で、今でいうと地場企業の経営者のようなものです。
一方でバザーロフの家は医者です。医師というと裕福なイメージがありますが、資本の蓄積がなく、あくまで身ひとつで生計を立てていかなければならないという点でアルカージイら貴族と対比すると大きく異なっています。
アルカージイは、同世代として革新的な主張をするバザーロフに同調していましたが、物語が進むにつれて保守的な地主の実家の価値観に回帰していきます。
育ってきた環境の違いから、根底にインストールされている価値観が異なっていたのです。
表面では合理に基づいた変革が進みそうだが、実は根深い階級格差が厳然として存在する。どうでしょう、現代の日本とリンクするように思いませんか?